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現在、そのあとの世界をどうして生きるか

2013年夏、演劇作家・藤田貴大率いるマームとジプシーは漫画家・今日マチ子「cocoon」を原作に、沖縄戦に動員される少女たちに着想を得て作品を製作、発表いたしました。少女たちの賑やかな日常が戦争によって否応なしに死と隣り合わせの日々へと変わっていく様子を、切実さを持って描きました。初演では演劇界のみならずあらゆるジャンルのクリエイター及び観客より激賞を受けました。そして、2015年には東京芸術劇場とマームとジプシーが新たにタッグを組んで、沖縄含む全国6都市ツアーを開催し、その翌年には、本作にて藤田が第23回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞しました。ついに今夏、再演から約7年の月日を経て、待望の上演が決定。マームとジプシー設立15周年を迎えるこの年にMUM&GYPSY 15th anniversary year vol.2と銘打ち、沖縄から北海道まで全9都市を巡ります。

現代の沖縄に流れる時間

2013年「cocoon」に取り組み、沖縄に出会った藤田は、その後も頻繁に沖縄へ足を運び、「今」という時間を見つめました。2022年2月には、那覇文化芸術劇場なはーとのこけら落としプログラムとして、藤田の最新作「Light house」を劇場と共同で製作し、発表。その製作期間中には、ソーセージ・チーズ・ビール・パン屋などの製造業の方々、小書店・カフェのオーナー、沖縄の雑誌編集長、那覇でホテルを経営する建築家の方々など、現地で実際の営みの場を持つ方との対談を実施。また、沖縄在住の方を対象としたZoomワークショップを開くなど、沖縄に住む方々と出会い、多くの対話の場を設けました。こういった時間を重ねて生まれた作品「Light house」では、人々の記憶や歴史の断片を「水の流れ」と結びつけて舞台を展開させました。インタビューや書籍・資料からの情報だけでなく、「Light house」を経て、藤田自身が体感した現代の沖縄に流れる時間も含め、改めて「cocoon」という作品を描きます。

©mum&gypsy cocoon