coccon

works2

beach1

  • 海を、こう抱えているようなかんじで

    曲線に、あっちのほうに 白いホテルが建っていて

    広い庭に、プールがあったり

    人工的な、木が植えてあって

    その、こっち側がプライベートビーチ

    泳げる範囲が仕切られている

     

    天気がすごくよくて、白い砂浜

    砂自体が、すごく熱くて

    おにいちゃんと、騒ぎながら

    海に、はいって行ったのを憶えている

     

    点々と、ベンチが置かれてあって

    とおくに座っているひとが、ここから見える

     

    パラソルを借りることができて、借りて

    横になれるベンチを、こう

    ふたつ置いて、まんなかにパラソルを立てた

     

     

  •  

     

    すごい、きれいだったのを憶えているのだけど

    はいるのが苦手で

    「色が濃いところに行っちゃダメだよ」と

    言われていたのもあって

     

    レジャーシート、茣蓙、パラソル、クーラーボックス

    ちいさい水槽が、ふたつ

    その水槽に、弟が石とか

    海辺のちいさい生き物をいれて、遊んでいる

     

    サンダルを脱いで、海に

    はいろうとするんだけど

    なんか、足裏に なにかかんじる

    で、やがて 微生物がいることに気がつく

    波打ち際の、ちかくに

     

    それがくすぐったくて、きもちわるいんだけど

    なんかたのしくて

    砂のなかに、手をいれて遊んでいた

    つかれて、さいごは茣蓙のうえで

     

    タオルケットをかけて、眠ってしまった

     

  •  

    波打ち際で

    東京から来た、おねえちゃんと遊んでいて

     

    泥に埋まったり

    泥のお城をつくったり

    海はしょっぱくて、波もあるし

    浮き輪をつけて、浮いていた

     

    おとうさんは

    得意げに、沖まで泳いでいくのだけど

     

    それが下手くそに、見えて

    かわいそうだな、と おもっていた

     

  •  

    ホテルが、たくさん並んでいて

    ショッピングモールもあるのを、背中に

    すごく青くて、広い 海

     

    地球って、まるいことを 思いだされるような

    曲線の水平線

    あまりにも青いのに、はいってみると

    透明だったのが、不思議だった

     

    海の底に、青が塗られている

    と、おもっていたから プールみたいに

     

    けれども、しょっぱくて

    あまり、たのしめなかったのが ショックだった

     

    海岸線が

    まるく伸びているはずなのに

     

    まっすぐ、歩いていたのはなんでなんだろう

beach2

  • 泥の砂

    海の家が三軒、並んでいる

    そのどっかの、一個から

    走ってきた

     

    毎年、洪水のあとに来るから

    畳とか浮いてる

    茶色くて、いろいろ浮いてる

     

    おとうさんは乱暴で

    向こうのテトラポットあたりまで泳げ、みたいな

    その手前の、10人くらい乗れる

    おおきい浮き輪まで泳いだんだけど

    ゴーグルも無しに

    足も、底につかないから

    その、浮きに 登るのが

    すごい、たいへんだった

     

    弟はまだ生まれていなくて、おかあさんと犬がいた

     

    おかあさんは、むらさき色のビキニに

    むらさき色のパレオを巻いていた

    おとうさんは、すごいハイレグを履く

    ひとが見て、大丈夫なのかな っていう

     

  •  

    いっぱいひとがいて

    わたしたちだけじゃなく、家族連れとか

     

    けっこうひろい、海水浴場

    海は、深緑

    黒っぽい、青くなかった

     

    いとこの、ひろみちくんが

    わかめをかぶって、みんなを追いかけてくるのが

    とにかくたのしかった

     

    この海岸線から

    つきでている防波堤が、あっちのほうにある

     

    シャワー室があって

    いとこの、なおこちゃんと いっしょに、はいったんだけど

    五歳年上で、中学生だったから なんかドキドキした

     

  •  

    家族と、えーっと

    母の友だちの、家族と

    みっつくらいの家族と、海へ行った

    わたしは 一歳とか、0歳だった

     

    写真を見ていたら、思い出すのだ

    このビーチよく行ってたな、って

     

    そこで、バーベキューをするのだとおもう 白いベンチ

    緑の芝生があって そこに、わたしは座っていた

     

    砂浜、真っ白い スコップで、砂遊びをした

     

    海は

    めちゃくちゃ、きれいなエメラルドグリーン

     

    透明

    さかなが、めっちゃいる

    鮮やかな色をしたさかなではないのだけれど

     

    振り返ると、おとうさんたちはあのベンチで

    ビールを飲んでいる

     

coast1

  •  

    砂とかじゃなくて

    つねにごつごつした岩場で

    裸足じゃ歩けなくて

     

    たまたま、降りれるようになっているかんじの

    階段を下りて、ここまで来るんだけど

    うえは、道路になっていて その道路を行くと

     

    あっちに、お父さんが住んでいた

    40世帯くらいしかないような、村がある

     

    洞窟、みたいな 空洞

    さきへは行ったことがないのだけど

    すこし、深くつづいているとおもう

    空洞が、このへんにあって

     

    そのまえで着替えたり

    持ってきた、青と白のクーラーボックスを置いたり

     

  •  

    晴れていて 砂利みたいな、砂浜

    “砂浜”とは、言えないかもしれない

     

    きたない海、の反対側に木が

    ただ、生えていて

     

    カラフルな パラソルを、おとうさんが立ててて

    シートを敷いてあって

    キティちゃんの赤い浮き輪を、わたしは

    つかっていたとおもう

     

    青くなくて

    もうすこし、さわやかなイメージの海を

    想像していたんだけど

     

    血液みたいな、かんじの海

     

  • すごいごつごつした岩場で

    ところどころ穴があいていて

     

    波が来たあとは、穴に水が溜まって

    魚がはいっていたりする

    波が来ないと、虫が いっぱいいる

    ワラジムシ、みたいな フナムシ?

     

    弟はバケツを持って

    こういう“さんまた”の シャベルみたいなのを、持っている

     

    その日の夜に、サザエを食べたのだけど

    わたしたちは採れないから

     

    たぶんオトナたちが、それを採っていたのだろう

     

     

  • 母が、すごい勢いで

    崖を降りて行っちゃって 見えなくなっちゃって

    ぼくと兄、それと父が取り残されて

     

         まあ、機嫌が悪くなった父をここにかんじながら

    林のなかを、歩いて降りて行った

     

    けっこう、降りていくなかで 隙間から、たまに

    右から左へ こういう角度からも

    すばやく母が、遠くに 通りすぎるのが見えるのだけど

     

    やがて、ちいさな入江に辿りついて

     

    そこは、真っ白い砂浜

    異様に明るい、眩しくて なんて言うんだろう

    砂浜に、太陽が反射して 目に飛び込んでくる

     

    兄と、べつに興味もないのに ちいさい貝とか、拾って

    「上と下、これとこれが合うかもねー」とか話しながら

     

    自然と合流していた母と

    父に「子どもは子どもで遊んでるよー」という

    アピールをしながら

     

     

coast2

  • おかあさんが、ベビーカーを押していて

    もう片方の手で、わたしと手をつないでいた

     

    砂浜に海藻みたいなのが、べちゃあって

    見渡すかぎり、打ち上げられていて

     

    澱んだかんじ

    きたなくて、とにかく足がもつれる

    匂いも、よい匂いではなかった

     

    カメラを構えて

    笑顔だった母が、一瞬

    「あ」っとなった瞬間

     

    波にのまれた、わたし

     

    帰りの電車

    震えていたのを憶えている

     

     

  • 道路があって 駐車場にクルマを停めて

     

    クルマ酔いが激しいので

    気持ち悪くなりながら、降りて すぐ

     

    そんなにきれいでもない、砂浜

    海の家をだすような、ゾーン で、海があって

     

    冴えない海

    おとうさんの荷物は、簡素

    リュックひとつに、バスタオル

     

    水際に足を浸けたら、なんかくる 無数に痛い“なにか”

     

    おとうさんを呼んで、はいっても

    「これは痛い」ってことで

     

    地元のひとらしき、ひとに

    「すごい、蚊まれるんですが、なんですか?」って、聞いたら

    「チンクイだよ、時季外れだからチンクイがいるんだよ」って

     

    浅瀬のところを、よく見ると

    ちいさいのがびちびちしてて

     

    諦めて、砂で遊んだ

     

     

  • 国道135号線に沿って

    防波堤が、立っていて

     

    いまは、つかわれていない入り江に

    階段を下りていく

     

    すべり浜

    底に海苔が張りついていて、歩くと足をとられるから

    砂浜というよりも、磯

     

    レスリングの、あれみたいな

    白黒のしましまのを着ていて

     

    父親に抱えられて、海に放りだされる

    もしくは、ぶん投げられる

     

    それを繰り返しているうちに

    泳げるようになった

     

     

  • 白い砂利みたいな、砂浜

    岩場が両サイドにあって

     

    沢遊びをしているチームが、あのへんに

    浅瀬で遊ぶチームが、あのへん

     

    そんなに泳げないのに、わたしは

    遠泳チームに、はいってしまった

     

    けっこう、とおくに見える

    つきだしている岩を、Uターンして戻ってくる

     

    戻ってこれるか、わからないから

    とにかく緊張した

     

    結果、戻ってこれたのだけど

     

     

  • 岬のほうへ行って

    柵を越えて、岩場から海をのぞいて

    すごく、たかくて

     

    左のほうに、灯台があって

    ひかりが、ただ回っていた

    ここまで連れてきてくれた

    タクシーの運転手のおじさんが

    「あんまり見おろすと、吸いこまれちゃうよ」と

     

    「海のほうへ出てみたい」と、お願いして

    岬の真下の海岸まで 連れてってもらった

     

    ちいさな、入江

    ひとりで乗るような、ボートが

    いくつか、浮かんでいる

     

    波が荒くて、泳げるような海ではなくて

    白い珊瑚で、地面が埋め尽くされていて

     

    そこで、珊瑚を たくさん拾った

     

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